mogari no mori

奈良を愛している人たちによる奈良で撮った映画がカンヌでグランプリに選ばれた、という事実に対して私は泣くけれど、映画を見て泣けたかというと別に泣けていない。



泣けるものがすばらしいとかいうわけではなくて、私にとっては奈良って特別なんだけれど、この監督も奈良が特別なんだなってことが物凄くよくわかった。
田んぼをわたる風の色や、森の中の土の質感、木々や草の匂いが伝わってくる映画だった。
奈良のしるしがひとつもないので、奈良だといわれなかったら奈良だなんてわからないのだけれど、きっと奈良以外では撮影できなかったものだと思う。

人の感情。
感情で出来ている映画です。
喜怒哀楽の細かい隙間を表現している。
もしかしたらこういう隙間の、微妙な感情を取るに足らないものとして認識していない人も多いのかもしれない。「ある」のにね。そういう感情があるってことを伝えてくれる映画でした。
うらやましいなあと思った。
私はこういうことを知っているのに、それを表現しようとは思ってないなって思って。

あ、そうそう昨日が都内での記者会見だったらしいけど、場所が代官山の奈良県iスタジオだったのね。
それがまた、泣けるなあ。